煉獄さんロスってやつです。

 先日、かかりつけの眼科に行きましてね、そこの待合室の書棚に、今まで全然気にしたことがなくて眼に入っていなかったのですが、週刊少年ジャンプの最新号と過去3号分があったのです。うわー、読みたい! 「鬼滅の刃」が今どうなっているのか読みたい! やばい! でも何か、すごい勇気要る!(笑) 私、人前で漫画が読めないんです。なんか落ち着かなくてダメなんです。全然集中して読めないんです。どうしようどうしようと動揺しながら、いつも読む「サライ」と「旅の手帖」をまず読んで(そこの眼科は、先生の趣味であろう「ちょっと意識高い系のじいさん」が読みそうな雑誌が多いのです)、それを片付けた足でそこにあるジャンプの中で一番古い号をさっと抜いて、ばっと椅子に座って、がーっと「鬼滅の刃」だけ読んで、ハアハアしながらまた片付けました。そして何故か、次の号からはもう取り出せなかった……。一冊取り出して読んで片付けるだけで、力を使い果たしてしまった……(情けない)。でもいいです、恋柱の蜜璃ちゃんが、何故鬼殺隊に入るような人生を歩んだかがわかったのでいいんです。もうそれだけで満足です、うん……。もっと読みたかったですけど……(笑)。

 しかしもう、今や自分は、『鬼滅の刃』のことなら延々しゃべれるくらいの気さえしています。単行本でしか読んでいないので、最新のことはわかりませんが、それでもちょっとずつ入ってくる情報をもとに、次の巻ではこういうことが出てくるぞとか、そのさらに次の巻ではあのひとのあんなことがわかるらしいぞとか、もうそれを考えただけでワクワクが止まりません(笑)。早く読みたぁぁぁぁあい! 鬼滅のためだけにジャンプを買うようになったという方が結構いらっしゃるとも聞きますが、その気持ちわかります。本誌で読んでても、単行本が欲しくなるレベルの作品。単行本買うつもりでも、最新号を読みたくなる作品。好きなひとにはめちゃくちゃハマるでしょうね、この作品。

 以下、完全にネタバレしていますので、折りたたんでおきます。

 今のところ出ている12巻までのうち、やっぱり何度読んでも泣けるのが8巻ですね。7巻から本格的に出た煉獄杏寿郎さんが退場してしまう巻。私、やっぱり単純な人間なんでしょうね、鬼滅のキャラの中で、杏寿郎さんが一番強烈なイメージがあって、一番好きです。この裏表のない、言い換えれば「ひとを裏切る」という意味での面白さには欠ける、すぱっと竹を割ったようなひとが一番好きです。そういえば6巻の柱合会議のときから、頭の切り替えの一番早い柱だったよなと思います。理由があって「反対する!」と主張したことでも、それが反対するに及ばないことだと証明されれば、「じゃあ、反対しない!」とすぐに切り替わって、すぱっすぱっとした、実に小気味のいいひとでした。舞い上がって壮大な宣言をした炭治郎に対して、ほとんどの柱は笑いをこらえていたのに、煉獄さんだけは「良い心がけだ!」とかいって普通に感心してましたしねえ(笑)。若輩者の言ったことでもまともに受け止めるところが、なんかほんとうに「兄貴」って感じで、いいひとだな~と思いました。

 あと、地味にお弁当11個食べるような大食漢なところも好きです(笑)。「うまい! うまい!」と、これ以上ないストレートな賞賛の声を上げながら(しかもひとりで)弁当を食っていた兄貴……。変なひとだよ……。でも何か、お行儀がよいというか、妙にエレガントというか、ガサツそうに見えないところが不思議なひとだよなあと思います。もう私、「わはははは」っていう感じなのに、妙に品があるというか、堅いところがあるひとというのが大好きなので、杏寿郎さんは自分の好みの直球ドストライクですね。退場されてしまったのは悲しいですが、何故かこのひとは本当に「退場」してしまったような気がしない。この先もずっと炭治郎くんたち「かまぼこ隊」の背後についていてくれるキャラになったような気がして、ずっと登場しつづけるんじゃないかという気もします。亡くなってしまったことで、逆にレギュラーになったような(笑)。なんといっても、4巻あたりでは人間の死に対して何の感慨もなかったらしい伊之助が、杏寿郎さんの死で変貌しましたからね。あんなに伊之助の心が変わるとは思わなかった。めちゃくちゃ震えたんでしょうね、胸が。

 8巻の表紙はこの杏寿郎さんですが、カバーをとると杏寿郎さんのお母さんが立っている絵が出てくるのが泣けます。しかしコミックスの表紙にはなっていませんが、第66話「黎明に散る」の扉絵の杏寿郎さんと鎹烏(「かすがいがらす」といって、いろいろな連絡係をしてくれる烏が、鬼殺隊のひとりひとりについているんですが)の絵、あれがまたいいです。是非ともカラーで拝見したい。あの烏を腕に止まらせている杏寿郎さんの顔が、なんともやさしそうでねえ……(表情がないようにも見えますが、不思議にやさしそうに見える)。あの烏ちゃん、杏寿郎さんが亡くなったあとどうしたんでしょうねえ。どうやら千寿郎くんに訃報を伝えに行ったっぽいですけどねえ……。杏寿郎さんには、かわいがってもらっていたかもしれませんねえ。炭治郎くんを、煉獄家までちゃんと案内しましたもんねえ……。

 ところで8巻には、煉獄一家4人全員登場していますが、このうち存命なのが炭治郎くん命名「クソジジイ」であるお父さんの槇寿郎さんと、弟の千寿郎くんで、杏寿郎さんを入れてこの男性3人が、顔のパーツがほぼ同じというおそるべき生き写しトリオ。ただし、みんな性格も表情も違うので、キャラとして似ているとはあまり感じないです。まあ、年がいっているお父さんの槇寿郎さんはともかく、若い千寿郎くんはやはりお兄さんとかなり似ていて、今は物腰やわらかいかわいい少年ですが、この先もっとお兄さんに似てくる可能性があるなと思います。日輪刀の色が変わらないので、自分には剣の才能がない、剣士にはなれないと千寿郎くんは思っているようですが、果たしてこのまま刀の色が変わらないままなんだろうかという気もします。杏寿郎さんが亡くなって、ちょっと正気に返ったっぽいお父さんが「育手」として復帰しないんだろうかとも思いますし、お兄さんが生きていた頃と違う精神力を身につけた千寿郎くんに刀が反応する日は来ないんだろうかとか。うーん……、しかし千寿郎くんは本が好きだともいいますし、書物の修復もしてみると言ってましたし、頭脳面で鬼殺隊を支える方面に行きそうな気もしますしねえ……。どうなんでしょうねえ、でも何らかの形で、煉獄親子は絶対どーんと出てくると思いますので、すごく楽しみです。そもそも炭治郎くんちの家業の炭焼が炎を扱う仕事だというのは、やっぱり「日の呼吸」と「炎の呼吸」の関係が深いってことじゃないかなあ。竈門家と煉獄家は、なんらかの関係があるんじゃないかなあ。

 あと、千寿郎くんがくれた杏寿郎さんの形見の日輪刀の鍔が、どういう役割を持つかがすごく楽しみです。鋼鐵塚さんが研いでくれている昔の日輪刀に、炎柱の鍔つけるんでしょうか。つけたらどうなるんでしょうか。煉獄さん、魂で出てきてくれたり……しないでしょうし、出てきてくれても、「わははははは」とか言いながらお弁当食べてたりしたら嫌だ(笑)。まあ、杏寿郎さんはともかく、千寿郎くんは、絶対なにがしかのひとになると思う。あんなにお兄さんに生き写しの弟さん、絶対なにかの役割があると思う。でも、お兄さんのコピーにはならないと思う。杏寿郎さん、常々言っていたらしいですし、遺言でも言ってましたもんね。千寿郎くんには、自分の正しいと思う道を行けと。剣士になれとは言ってなかったみたいですし。千寿郎くんも、お兄さんの気持ちをきちんと理解しているみたいですし。

 ちなみになんとなく気になるのが、煉獄家の名前のつけかたでして、お父さんが「槇寿郎」で長男さんが「杏寿郎」、マキとアンズで植物シリーズなのに、次男さんは何故か「千寿郎」なんです。なんでだろ? 『鬼滅の刃』はキャラの名前を、あんまりなんとなーくつけている感じがしないんですよね。意味があってつけられている名前ばかりのような気がするのですが、そうすると千寿郎くんの「千」って何だろう? そんなこと言ったら、杏寿郎さんの杏って何だ? ともなりますが。槇は、倒れた木という意味が多分あるので、だからかなあとも思うのですが、杏は何だ? ちなみにうちの弟の名前にも杏の字が入っていますが、確かうちの親は、杏には薬としての役割があるとか何とかで使ったとか言っていたような気がします。あんまり男の子に使う字ではないので、よくお年玉袋の宛名に「京」とか「恭」とかを間違って書かれていましたな(笑)。ということで、だらだらお書きしまして申し訳ないです(^-^;)。

 それにしても、この煉獄さん一家、アニメになったときにどなたが声をあてるんでしょうか。杏寿郎さんの、快活でやさしい性格にぴったりのお声って、どなたになるんでしょうかねえ。