おそるべき国鉄。

 『忍びの者』の感想を書きたいのですよ。書きたいんですが、こっち先に書いてまう(勝手にせえ(笑))。

張込み [DVD] 松本清張原作、野村芳太郎監督作品のうち、『張込み』と『影の車』を観ました。『張込み』はサスペンスというよりも、人間ドラマといった方が正しい感じで、「面白い!」というよりむしろ「しみじみ」とした情緒を感じるような作品でした。1957年の松竹映画で、モノクロです。いきなり驚いたのが、張り込みで佐賀に向かう刑事ふたりが乗り込んだ汽車(蒸気機関車)。横浜から「鹿児島行」の急行に乗ったんです。直で鹿児島まで! こ、こ、国鉄って豪気やな!(^□^;) 真夏に冷房なしの車内で、座席の埋まった芋洗い状態でゴトンゴトン行くのですな。すごいなあ、昔のひとは、我慢強さが違う……。時代が進んで便利さに慣れると、ひとはうしろへ戻れないっちゅうことなんかなあと、そんな変なところでしみじみしてしまいました。

 ちなみにこの『張込み』。冒頭で出てきた「主犯」の男役が、内田良平さんだった! 内田さん、好きなんすよ~。映画『燃えよ剣』の七里といい、『風』の「誰がための仇討ち」の浪人といい、『十三人の刺客』の忠臣といい、あの眼差しの強さと冷たさ(熱さとともにある冷たさみたいな)がたまらなくいいです。確か「ハチのムサシは死んだのさ」の作詞って、内田さんなんすよね(不思議な感じ)。あと、少女のひとりとして磯部玉枝さんが御出演でした。ドラマ版『燃えよ剣』のお雪さんですな。私が観たことあるのは、『帰ってきた用心棒』と『風』に御出演の磯部さんですが、かわいいんですよねえ、磯部さん。

阿房列車 1号 (IKKI COMIX) そういえば、列車といえば、多分年度末くらいに買ったと思うのですが、内田百閒(環境依存字なので、表示されていない方にはすみません。最後の文字は門がまえに月です。ここからは、「間」の字で代用します)先生の随筆『阿房列車』の漫画化作品『阿房列車1号』。一條裕子さん作です。これ、肩の力が抜けているようでありながら、実はなかなかの力作である漫画作品じゃないかなと思いました。著名な先生なのにとても貧乏らしい百間先生は、どうも乗りテツだったらしい。金を借りてまでも、目的なく大阪まで列車に乗っていったりする(笑)。お供に「ヒマラヤ山系」くんを連れて、どう~~~でもいいことばかりどうでもよく喋りながら、とにかく旅をする。しかも百間先生は、偏屈爺。その偏屈さが、ラブリーなクソ爺。いや、本当、ごめんください、良い意味で(笑)。江ノ島と箱根と日光は、他人が褒めるので行かないそうです。「誰が行ってやるものか」「さしあたり、今度も行かない」などという(笑)。

 とにかくこの漫画、古き時代の鉄道の様相が見られて楽しいです。2号が出たら、買うだろうな~という漫画です。

 で、今回は本当は、『張込み』のあとで観た『影の車』について書きたかったのですが、どうも言葉があふれそうで却って書けそうにないので今度にします(笑)。何だこれー!? 超うっとりなんですけどー!?(^□^;) という作品(自分でもびっくり)。加藤剛さんと岩下志麻さんに、心底やられた。しかもこの作品、サイコで怖い。いやぁ、痺れました、『影の車』。じゃ、また今度!(笑)