イシグロさんは、よいよね。

 カズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞とは、本当によいニュースですね。イシグロさんの小説は面白いです、大好きです。ノーベル文学賞といえば、『予告された殺人の記録』や『百年の孤独』のマルケスも大好きですが、マルケスと同じところ(?)にイシグロさんのお名前も連なるとは、大変うれしいです。

 ただ、海外の文学作品というと、訳者の力というか言葉のセンスもおおいに関係していて、同じ作家の作品でも訳者が違うと、何か今一つ読み込めないというか、リズムがつかめないまま終わってしまったりすることもあります。私はどちらかというと、堅い訳文が好きで、あんまりやわらかい訳文だと読む気が起きなくて、直訳調というと語弊があるとは思いますが、端正で理知的で、ちょっと硬質で男性的な訳文が好きだなあと思います。私の周りには、堅い訳文は好きじゃないというひとの方がむしろ多いのですが、私はやっぱりもってまわった言い回しにさえ見えるカチカチした訳文の方が好きだなあと思います(笑)。いや、もとの作家さんの文章のテイストがそもそもやわらかくて、訳文もやわらかくなっているということももちろんあるでしょうから、そもそもの作家さんの作品が硬質で、かつ、その硬質さをきちっと出してくれている訳文の作品の方が私は好きだということなんでしょうね。