蛭子さんが実は好きです。

 台風は、またいつもの感じでやってきた、という感じです、今のところ。日本海側に抜けるルートじゃなく、直撃して陸上を行くみたいなので、まあマシでしょう。直撃していくやつは、それほどでもない。

 ところでSonyさんがまた電子書籍の購入に使えるNET CASHをくれたので、どれ買わせてもらおっかな~、あれは入ってないよな~、だって前見たとき入ってなかったもんな~と思って確認したらば、入っていたんです、ちょっと前から読もう読もうと思っていた蛭子能収さんのエッセイ本が。ときどきそっと拝読している見知らぬ30代女性のブログで先月くらいに紹介されていて、それで興味を持っていたのです(私、この方のブログが好きなのです。淡々としていて、また共感できることも多くて)。『ひとりぼっちを笑うな』という新書です。

ひとりぼっちを笑うな (角川oneテーマ21) 今人気があるという、太川陽介さんと蛭子さんのバス旅番組が私も大好きでよく観るのですが(再放送も観てしまうので不思議。何度観ても面白い)、あの番組の中の蛭子さんの何が一番好きかって、どこへ行ってもその土地の名物には興味がなく(特に魚介類にはまったく興味を示さない)、オムライスとかカレーライスとかカツ丼があれば喜んで食べるというところ(笑)。すっごくいい。何ででしょう。旅番組とか観ていると、「魚が美味しい」という土地ではお約束のように海鮮丼が出て「ぷりっぷり」とか言いながら食べるひとが出てきますが、あれ、私もまったく興味が持てない……。なのに、どこででも食べられるオムライスが出てきて、更にそれが美味しそうだったりすると、ああ、いいなあ~と素直に思えます(ちなみにオムライスは、ふわとろ卵じゃなくて、大衆食堂の硬くて白身と黄身がまだらになっている卵のやつの方がいとおしい)。なので、そういうものの方を迷わずに選ぶ蛭子さんのブレなさっぷりが好きです(笑)。

 で、上記のエッセイ本についてなんですが、詳しいことは省くとしましても、とりあえずSNS全般とか、今だと特にLINEとかに魅力を感じないひとにお勧めします。私もそのクチド真ん中で、蛭子さんの感覚に「めっちゃわかる~」と思いながら読んだことでした。まあ、蛭子さんのように「他人に迷惑はかけない」という断固たるポリシーを持って生きてきたとは言えないので、蛭子さんの方が私より格段に立派だとは思うのですが……(^-^;)。ただ、蛭子さんも割とこの本の中で矛盾したことも言っているので、そこは御愛嬌かなという気もします(笑)。「個性」という言葉を肯定的に使ったり否定的に使ったり、ちょっとブレているかなと思うところもあるんですが、でも、言っていることはよくわかりますし、そこはそんなにこだわって厳密に書くべきところでもないような気もします。

 ちなみに蛭子さんの言っていることは、哲学者のショーペンハウアーが言っていることと通じるところがあると思いました。こういう感覚(考え方)の人間が一定数いるということを知るべきじゃないかな、「友達(ひとづきあい)至上主義」のひとは(^-^;)。つながりとか絆を賛美し、その逆の「孤独」を常に否定的に見る傾向の強い社会で生きづらさを感じているひとにお勧めの本です。絆は要らない、と言いたいのではないです。絆を賛美することと孤独を否定することがセットになっていることが問題なのだと思います。絆が大事なひとがいる一方で、孤独や自由が何より大事だという人間もいるんです。おかしな人間に見えるかもしれませんが、そういう人間がいるのです。「群れ」が嫌いという蛭子さんの、その「嫌い」な理由が、多分そういう方には全部理解できると思います。かくいう私も、「あ、蛭子さんが全部言ってくれてる」と思いましたもん、正直(笑)。